埴輪 x 初音ミク、鏡音リン・レン

東京国立博物館と〈ぶんかつ〉が2022年に実施した「踊る埴輪&見返り美人 修理プロジェクト」をきっかけに、
東京国立博物館を代表する埴輪と「初音ミク」、「鏡音リン・レン」がコラボレーションするものです。
コラボレーショングッズの売り上げの一部は、所蔵文化財の修理に関連する費用として、東京国立博物館に寄附されます。

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キービジュアルについて

  「埴輪 挂甲の武人ミク」と「埴輪 踊る人々リン・レン」のキービジュアルは、国内外で活躍するイラストレーターの三月八日氏に担当いただきました。「埴輪 挂甲の武人ミク」は国宝「埴輪 挂甲の武人」をモチーフに、冑(かぶと)や甲(よろい)を初音ミクがまとったもので、埴輪の力強さとミクの可愛さを両立させたイラストとなっています。「埴輪 踊る人々リン・レン」は、埴輪「踊る人々」をモチーフに、埴輪のフォルムとして親しみ深い左手をあげたポーズをしています。どちらも埴輪らしい素朴さ、愛らしさを表現したイラストです。

モチーフとなった作品について

国宝「埴輪 挂甲の武人」 群馬県太田市飯塚町出土 古墳時代・6世紀 
  「埴輪 挂甲の武人」は、東京国立博物館の誇る国宝の埴輪です。全身を甲冑で固め、大刀(たち)と弓矢をもつ勇ましい姿の人物埴輪で、6世紀の東国の武人のいでたちを知ることができる貴重な作品です。

頭には顔を守る頬当てと後頭部を守る錣(しころ)が付いた日本列島独自の形の冑(かぶと)を被り、甲(よろい)には腰を守るスカートのような草褶(くさずり)がついています。さらに、肩や膝を守るパーツ、手を守る籠手(こて)や臑当(すねあて)など、細かい部分や構造までしっかりと表現されています。

武器に着目すると、腰には太く長い大刀を提げ、左手に弓を持っています。左手首には弓を引くときに手首を守る鞆(とも)、背中には鏃(やじり)を上に向けた4本の矢が入った靫(ゆき)が表現されています。まさに、フル装備のいでたちといえる力強い埴輪です。

「埴輪 踊る人々」 埼玉県熊谷市 野原古墳出土 古墳時代・6世紀 
 ポカンとあいた目と口の愛らしい表情。左手をあげて右手を胸前に出すポーズ。埴輪と言えばこのフォルムを思い浮かべる人も多いでしょう。「踊る埴輪」として親しまれていますが、近年では左手で馬の手綱を引く馬子(まご)とみる説もあります。

小さい方の埴輪は、腰に鎌を着け、顔の両脇で髪を結って束ねる美豆良(みずら)という男子の髪型をしています。一方、大きい方の埴輪にはその特徴がみられず、男女のどちらかよくわかっていません。ただ、女子の埴輪によくみられる胸部や服飾の特徴的な表現がないことから、男子の埴輪であるとも考えられています。衣服や武具、アクセサリーを身に着ける埴輪も多くありますが、この作品はどちらの衣装も帯のみと大胆にデフォルメされています。この素朴さ、そして生き生きとした動きが作品の魅力でもあるのではないでしょうか。

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これまでのコラボレーションについて

 

 東京国立博物館の所蔵品とピアプロキャラクターズのコラボレーションは、2020年の「〈冬木小袖〉ミク」、2022年の「見返り美人ミク」に続き3回目となります。「〈冬木小袖〉ミク」は森倉円氏に、「見返り美人ミク」はRella氏にイラストを担当いただきました。どちらのコラボレーショングッズも、売り上げの一部は所蔵文化財の修理に関連する費用として、東京国立博物館に寄附されました。

これまでのコラボレーショングッズのうち一部は、特設ページ(https://mikaerimiku.official.ec/)にて引き続きご購入いただけます。

「初音ミク」「鏡音リン・レン」 

クリプトン・フューチャー・メディア株式会社が開発した、歌詞とメロディーを入力して誰でも歌を歌わせることができる「ソフトウェア」。大勢のクリエイターが「初音ミク」「鏡音リン・レン」で音楽を作り、インターネット上に投稿したことで一躍ムーブメントとなった。「キャラクター」としても注目を集め、今ではバーチャル・シンガーとしてグッズ展開やライブを行うなど多方面で活躍するようになり、人気は世界に拡がっている。

https://piapro.net


東京国立博物館

明治5年(1872)に創立した日本でもっとも長い歴史を持つ博物館。

収蔵する文化財は約12万件。日本から中国、朝鮮半島、西アジア・エジプトまでの地域を網羅し、土器や土偶などの考古遺物から浮世絵や刀剣、甲冑、近代絵画など、日本の美術史をたどることのできるコレクションとなっている。

https://www.tnm.jp/

文化財活用センター

2018年に設置された、文化財活用のためのナショナルセンター。「文化財を1000年先、2000年先の未来に伝えるために、すべての人びとが、考え、参加する社会をつくる」というビジョンを掲げ、「ひとりでも多くの人が文化財に親しむ機会をつくる」ことをミッションとして、さまざまな活動をしている。

https://cpcp.nich.go.jp/